
8月23日(日)、東京湾金沢八景(漁港内)で「第14回金沢漁港シロギス釣り大会」が開催され、最多となる790人が参加。ミリ単位で繰り広げられる熱戦の様子を本紙協定・忠彦丸から乗船取材した。
<本紙・堀口 俊>
午前6時ごろにはのんびり楽しむファミリーから闘志をみなぎらせたベテランまで、総勢790人が集まり港は大盛況。19船宿、35隻に分かれ乗船。各自仕掛けのチェックをしたり、青イソメの頭を切ったりしている。
検量方法は今回から釣り上げた最大のシロギス1尾の長さに変わった。そのため子どもも大人も、ラスト1投まで一発逆転のチャンスがある。竿は1人1本、ハリは2本まで、オモリは15号を使用。
第十七忠彦丸は安田剛船長の操船で出船。「夕食のオカズを釣るのではなく、大物1尾を狙っていきます。エサは大きめに付けてください」とアナウンス。海上は風やウネリがあるものの支障はなさそう。港前でスタンバイし、全船8時ぴったりに全速力で走り出す。
15分ほどで本牧周辺の航路に到着。風裏で揺れは少ない。船長の合図で各自投入するが反応は少ない。すぐに小移動し再開。水深は10メートル以下。「普段キス狙いの船がこない穴場のポイントです」と仲乗り。
早速連発させたのは左舷胴の間の小磯史朗さん。「この釣りは年10回くらい。着底後、ミチイトを1~2秒たるませて誘っています」
左舷トモの関愛弥ちゃんは20センチ、23センチと2連発。昨年は25センチを上げただけあり、やり取りは慣れたもの。「もっと大きいのを目指します!」と気合十分。
左舷ミヨシから胴の間に入った北本さん一家は祖父、父、母、息子、娘の三世代で参戦。お父さんの「1人でも大きいのを上げてくれれば」という期待に応え、息子の翔太くん、娘の美羽ちゃんが22センチ前後を上げる。「すごい!やった!」と大喜びで家族に報告している。
右舷胴の間の渡部航平くんやトモの西出崚真くんも22センチをキャッチして子どもの活躍が目立つ。負けじと大人たちも良型を上げる。掛かる魚の半数は20センチ超だが、23センチまでで伸び悩んでしまう。
ここで本牧沖へ大移動。水深は20~30メートル。こちらは風とウネリがあり、アタリがうまく取れないと厳しい状況。1時間弱周辺を探ってから、八景沖へ向かう。
再スタートするとぽつぽつと良型が上がり始める。左舷ミヨシの柴田光司さんは22センチを上げ、「シロギスの大会には何度か出たけど、1尾の全長勝負は初。やれることをやったら後は運任せです」
終了まで1時間を切り、全員真剣な表情で狙う。右舷ミヨシの和泉まりかさんには「キスじゃないのかと思った」ほどの強い引きで24.826センチ(後検)が浮上。その後更新する魚は上がらず、これが船中最大となる。
午後1時に終了。港に戻り、各宿で上位入賞者が表彰され、抽選会が行われる。24.2センチで惜しくも船中1位を逃した佐々木勝利さんは「大物には胴突き仕掛けがいいとの情報を信じて釣りました。食いは渋かったけど上がれば大半が良型。こういうのもいいね」と話した。
790人から勝ち上がった各船1位の35人が再検量へ進む。本紙でおなじみの永井裕策さんと清水希香さんによるジャンケン大会などの後、総合順位が発表された。
見事総合優勝となり、ハワイ旅行を手にしたのは羽生雅英さん(28.067センチ)。「運がよかった。向こうから食いついてくれた」と言う。ラスト1時間に八景沖で上げたそうで、このルールならではの一発逆転だったとのこと。
2位は大森吉則さん(27.528センチ)。「欲を出さずに黙もくと釣ったのがよかったのかも。投入してイトフケを取ったとたん、ギューンときました。巻き上げる間もずっと引き続けていて、いつもの魚とは違うと感じました」
3位は根岸正一郎さん(27.492センチ)。「船長のおかげです。大きめのハリとエサで大物を狙い打ちしました」
上位6人が27センチ超を上げ、ミリ単位を競う勝負となった。上位入賞者たちには竿やリール、クーラーなどの豪華賞品が贈呈され、大盛況のうちに散会となった。